盂蘭盆会(うらぼんえ)
~ 迎え火 ~

令和元年8月13日 今年もまたお盆の季節になりました。この時期には在世の親族の元に、ご先祖様の御霊がお帰りになると信じられています。『迎え火』は、お帰りいただくご先祖様が道を間違えないようにと現世において灯す標(しるべ)です。

光明寺では13日の夕暮れ時、墓地から本堂、そして山門へと続く道筋に蝋燭の灯りを燈し、迷わずご先祖様が現世に戻りそれぞれの家に帰れるようにその道筋を照らします。

今年の8月13日は、その直前まで「地獄の窯の蓋が開く」と俗に言われるような猛暑と日照りが続いていましたが、当日は夕方突然の雨に見舞われて蝋燭の炎が消されてしまうというアクシデントが有りました。

しかし夕暮れまでには有志の方々の奮闘により無事送り火を灯す事が出来ました。心より御礼申し上げます。

訪れた皆様からも、「雨が降って少し涼しくなって良かった」であるとか、「打ち水したみたいで綺麗」などと「災い転じて」福となるようなお言葉もいただき感謝に堪えません。

陽が暮れる頃になると、光明寺にお墓のあるご家族が提灯を片手にお寺を訪れ、初めに本堂で提灯に火を貰い足元を照らしながら墓地へと向かいます。

墓地の入り口には『彼の世とこの世の境』を守る地蔵堂があり、道に迷わぬ様にと念じながらご先祖様が待つお墓に向かいます。そしてご先祖様が眠られるお墓を清めてから、ご先祖様と共に家へと帰ってゆきます。

このようなお盆の習慣は、親から子供へ、子供から孫へと代々引き継がれて現在まで続いています。

私達はご先祖様の姿を見る事は出来ませんが、お寺を訪れお墓にお参りする事で亡き人を、ご先祖様を感じる事が出来ます。それは同時に、やがて三途の川を渡り「彼の世(あのよ)」に旅立つ定めの自らにとっても、年に一度兄弟や子供、そして友人等に迎えて貰えるのだという「安心」へと繋がるのでは無いでしょうか。

お盆のご供養はご先祖様の供養で有ると共に、現世に生きる者に「安心」とは何かを問いかける行事です。

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